最近、ドイツへの移住を希望する日本人の数は増加しています。留学後、そのまま就活するケース、駐在で赴任後、転職してドイツに残るケース、日本で数年働いた後、ドイツでの転職にチャレンジするケースと様々ですが、皆さんの共通の関心は、現地の言語知識がなくても就職は可能かということです。今回は、ドイツでの就職に語学力がどの程度必要か説明したいと思います。
ドイツは世界第４位の経済力、社会保険制度や教育制度も充実して住みやすい国です。またブランド品やお金のかかる趣味に関心が薄く重要視しない価値観は、とても居心地がよいものです。さらに男女や人種による差別が少ないのも特徴です。最後に冬は長くて暗いですが、春夏は遅くまで明るく自然に恵まれ、空気もクリーンな国です。
ドイツに遊びに来るだけなら、英語だけで事足りますが、もし気に入ってここで働き、生活したいと思ったら、どうでしょう。世界どこでも同じですが、遊びに行くのと住むのでは違います。実際どの程度の語学力が必要なのでしょうか。
１．日本語だけで就職できるか
難しいです。デュッセルドルフは日本人村とも呼ばれ、日本人の数は多く、日本人学校、スーパーやレストランもたくさんあります。しかし、大学で勉強したい、仕事をしたいと思ったら、日本語だけでは何もできません。
２．英語と日本語だけで就職できるか
1のパターンより簡単です。ビジネスレベルの英語ができれば、日系企業に就職するチャンスが広がります。ドイツにある日系企業はヨーロッパ全域を市場としていることが多く、そのため国際語である英語が重要視されます。とは言え、顧客の多くは経済的に強いドイツにあるのでドイツ語ができるに越したことはありません。
３．どの程度のドイツ語力があれば就職に有利か
勉強を始めたとは言っても、実際に使えるようになるまでには時間がかかります。B１、B２（レベルは後述）になれば、少しは日常会話ができるようになり、B2であれば簡単な事務や仕事が可能。C1まで達したら、ビジネスレベルとして就職にもかなり有利に働きます。またドイツの国立大学にも行くことができます。
ドイツ語力の評価基準について
EU共通の評価基準としてA、B、C、それぞれの中に１・２があるので計６段階でレベルが定められています。Goethe Institutによる日本語訳は下記の通りです。
出典：Goethe Institute Japan
資格を取るための試験
Goethe Institute： ドイツ語であればGoethe Institute は世界で最高の教育機関です。政府にも援助され、試験結果は世界中で有効です。資格として評価されるのはB１以上でしょうか。B1はドイツ永住許可を申請する時必要になります。B2・C1は就活に有利です。C2は、母語者と同じレベルになります。
Leben in Deutschland：これは政府の機関が実施する移民の方に対する試験です。例えばドイツ人と結婚し配偶者ビザでドイツへ入国してきた方や、駐在員がドイツに残る場合に受けるものです。後でドイツ国籍を取りたい方もこの試験に合格しなければなりません。試験の内容はドイツの文化、政治制度、教育制度、ドイツの歴史も含まれます。言語レベル的にはA2/B1レベルで、そんなに難しくないですが、内容は準備せずに合格することはできず、ドイツに関する細かい知識が必要になります。
TestDAF：ドイツで国立大学に入学したい時必要になります。アートや数学など、あまり言語知識が必要でない学部はB2、社会学、経済学や法学などの場合はC1のレベルは必要になります。
DSH：TestDAFと同じように大学に入学するために必要です。TestDAFは選択式、DSHは各質問を200字以内で回答するクラシックのスタイルです。
Einbürgerungstest: ドイツ国籍を得たい方が受ける試験です。言語レベルはB2/C1で、言語より内容が難しく、ドイツの歴史、文化、議会制度、憲法等ドイツ人でも準備せずに合格できないと言われています。
本記事ではドイツでの就活の際に必要なドイツ語知識について説明しました。世界のどこでも同じですが、就職する場合、現地の言語を話せることは非常に有利です。ドイツ語は、始まりの8・9か月間、どんなに頑張っても話していることがわからず、辞めてしまう方も沢山います。ドイツ語を勉強することはまるで山を登るみたいなものです。山の頂上に達するまでは非常に大変ですが、一回その難しさを超えて、頂上に到着すれば、景色も気持ちも最高で、価値があるものです。「Auch Rom wurde nicht an einem Tag gebaut」（ローマは一日にして成らず）だからドイツで生活したいなら、是非頑張ってドイツ語も勉強しましょう。 「Übung macht den Meister」（練習は完璧にさせる・継続は力なり）！）